留学記

【孤独と戦う留学記】17歳で一人アメリカへ行った話⑤口は災いの元

お父さんの怒り

 「イッシー!話がある!」
大きな声でお父さんが話しかけてきた。かなり怒っているのが分かった。

「君は私が子供の面倒を君に押し付けてると言っているそうじゃないか!前のお父さんが職場でその話をして、それを聞いた人から聞いたんだ!」

 前のホストファザーに今日は子どもの面倒を見るから家に行けなくなったと言ったことがあった。5歳の男の子のわがままが酷く、小学校の先生であるお父さんにどのように対応したら良いかの相談もした事がある。だけど、そんな事わざわざ他人に言うとは思えなかった。

 その時の私の気持ちは、

なんでみんなペラペラ喋るんだ?普通に考えてありえない!どっからどう考えてもみんなおかしい!

 自分で撒いた種なのにも関わらず、いろんな人を攻めることを優先にしてしまった。

 しかし、一度ホストチェンジをさせられてる私は再度ホストチェンジになってしまうと早期帰国の可能性がある、そのことの方が私には怖かった。

「私はこの家を出ていくことになるの?」

 そうお父さんに問いかけた。お父さんが私に陰口を言われて傷ついている事なんて考える余裕がなく、自分本位な質問を投げかけてしまった。

しかし、お父さんは優しくこう答えてくれた。

「いや、君にはこの家にいてほしい。妹も弟も君のことを本当のお兄ちゃんだと思って親しんでいる。君が家族の一員になってくれた事が僕たち家族にとっては嬉しい事なんだ。ただ、僕に対する君の思いを別の人から聞くのは心が痛む。何事もまずは僕に相談をしてくれないか?」

 目から涙が溢れ出した。私は謝ることしかできなかった。

 感謝の気持ちを忘れた私の行動がいろんな人を巻き込んで、いろんな人を傷つける形になってしまった事が本当に申し訳なかった。

ホストファミリーへの思い

 留学財団の人から聞いた話だが、もしホストが見つからなくてイッシーが帰されてしまうのなら、私が引き受けたいと言ってくれたのがお父さんだった。

 大学院で忙しい中、私の宿題を手伝ってくれ、友達の息子が私と同じ高校にいるからと、スタディバディーになってくれるようにお願いもしてくれた。

 意見や価値観の違いでいろんな衝突やトラブルはあったが、この家族じゃなければできない経験が本当に沢山あった。

 妹は私に流行りの歌やアメリカの手話を教えてくれた。
 英語が間違っていると訂正してくれて、お礼を言うと嬉しそうにどういたしまして!と返してくれた。

 弟はイタズラ好きでワガママだったが、学校で私の絵を描いて持ってきたり、不意にアイラブユーと言ってくれたり可愛いところが沢山あった。お父さんとの話し合いが終わった後に、まっさきにハグをしてくれたのも弟だった。

 日本の家族とだって、意見の違いで喧嘩をして仲直りをしてを繰り返す。アメリカの家族も本当の家族のように接してくれていただけだ。

ましてや、本当の家族と思っていなければ、私の行いを許してくれることなんてなかったはず…

17歳だった私を許し、家族の一員として思ってくれている事が心の底から嬉しかった。

最後はこの家族と空港でお別れをしたい。そう思っていた…

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